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第5回 僕も含めて日本人はコミュニケーション下手ですよね。

石原:ところで日本と世界を考えた時、僕ら日本人をどう思いますか?

重松:日本っていうのは開国後120年ですよね、
未だにコミュニケーション下手だな、と思いますね。
日本で言う「あ・うんの呼吸」みたいなのは海外ではほぼ無いでしょう。
ぼくらは自分の考えをはっきりと説明する責任意識を個人で持っている人は少ないと思うんですよね。
本質的には民族性の中にそういうのは希薄なのかな?と思います。
それがすごく海外から見て曖昧で何を考えてるのか解らない、
という捉えられ方をされがちです。
日本の民族っていうのは非常にまじめで、礼儀正しい。でもその部分が全然浮き彫りにされなくて残念だなと思います。宿命だとも思ってますけど。

石原:そうですね。自己表現というのか「個」というもののあり方が
非常に曖昧ですよね。
この問題については僕も学生運動をやっていた頃にずいぶん哲学な意味でつきつめました。やっぱりヨーロッパで、できた「個」というものが特に日本ではできないですよね。

重松:そうですね。日本の風土や社会環境を考えた時に「自我」っていうのがとっても賎しいモノに思われがちですよね。「近代的自我」っていうのが日本の課題なんでしょうね。

石原:それは服に携わってる環境で感じますか?

重松:洋服そのものの表現には無いでしょうね。
プリントしたり、装飾したりというようなことにおいては。ただ洋服に関するビジネスや取り引上の人間関係において感じる事です。

石原:むしろ日本人のコミュニケーション下手な部分がカジュアルな洋服の文化を形成する意味ではどんどんプラスになっていますよね。

重松:そうですね。動作や言葉で表現するより、服の着方での流れの方が、今の日本人には表現しやすいのでしょうね。
階級のない社会、誰でもできる、何でも得られる社会としての日本ですから。
その状態はビジネスをする我々にとっては大変有り難いことですが。

>>次回は、アメリカやイギリスといった西洋の国々と比較して
  日本人はどうか、日本の文化はどうか。
  日本人の「美」に対する感覚などの話も。お楽しみに。(次回12月6日予定)
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ユナイテッドアローズ社長
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