第5回「強敵を破って勝利するということは無上の喜びです。」
石原:さてここで話題をもうちょっと個人的なことに転換させていただきます。
院長のお好きなことは・・・?
丁:3つの大きな楽しみがあります。
1つはおいしい中華料理を食べること。
第2番目は、日本人の女性と結婚する、あるいはお付き合いをすること。
3番目はヨーロッパを旅すること。
石原:日本の女性が聞くと喜びますね。(笑)
丁:食べ物としては中華料理ですよ。
中でも、私は広東料理が一番だと思います。
石原:広東料理のさらにこれといえば・・・。
丁:海の魚の料理です。名前がちょっと出てきませんが頭の大きな魚・・
なんていうのかな・・ともかくこれは絶品、最高です。
石原:続けてお聞きします。お好きな歌は。よくお歌いになる歌は?
丁:音痴ですから歌うのはどうも。聞くのは好きです。
特にアメリカの曲、例えばホイットニーヒューストンとか
マイケルジャクソンとか・・・・。
石原:建築以外のジャンルで、
お好きなアーチストをあげていただけませんか?
丁:中国画の大家、張大千先生が好きです。
清朝末期1920年代以降活躍の画家です。
画 張大千
石原:すみません。私は名前も存じ上げませんので
早々に勉強させていただきます。
ご自分で何かスポーツはなさいますか?
丁:スイミングです。よく泳いでいます。
石原:今までお読みになった小説でもっとも印象的なものを
教えていただけますでしょうか?
ちなみに私は断然「カラマゾフの兄弟」です。
丁:私は「悲惨世界」。
そう、ビクトルユーゴの「レ・ミゼラブル」です。
この小説は18〜19世紀。
フランス大革命時期の上流社会と庶民を描き切っていると思います。
石原:話はぐっとくだけますが・・・、お好きな女性のタイプは?
丁:東方系の女性がいいですね。
石原:やさしいお嬢さんタイプ?(笑)
さて、院長はいままでにいろんなことを見たり、
経験なさったりしていらっしゃることでしょうが、
その今までの人生の中で、「これはすばらしい」と感じられたことを
いくつかあげていただけませんか?
丁:それは突然いわれても難しいですね。
石原:例えば、僕の体験の一つを申し上げますと、6年ほど前のことですが、
午前5時半頃に見たベネチアの港の朝日の昇る神々しい風景です。
丁:私が一番感動的で忘れがたいことは、
建築設計の国際コンペで勝利した時のことです。
例の北京の「釣魚台迎賓館」のコンペです。
これはうれしかったですね。
石原:コンペで勝つということは、それほど感動があるものですか?
丁:やはり自分たちが工夫と努力を重ねて、
強敵を破って勝利するということは無上の喜びです。
それは自分たちの努力を社会が認めてくれたことにもなるのですから。
それこそ男冥利につきるというものです。
もちろん風景美も良いと思いますが、その感動は一瞬ですよね。
石原:おっしゃるとおりです。
丁:私の体験の風景でいえば、メキシコ近く、
サンディエゴのそばの静かな美しい街に行ったことがあります。
こんなところに住むことができたら最高だなぁと思ったことがあります。
もっとも私にアメリカが居住権をくれそうにありませんが。(笑)
>>次回はいよいよ最終回、「現代中国」とその将来のお話など。
お楽しみに。(次回5月8日予定) |
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建築設計研究院と丁院長 同済大学建築設計研究所は建築、土木、都市設計等の各セクションに80〜100人の研究員を有し、数百人規模の巨大な組織です。国家の巨大プロジェクトの設計に中心的役割を果たしています。その研究院の院長、丁潔民氏は1994年、若干37才で院長になり、工学博士、教授、博士生導師の肩書きを持っておられます。なお、現在の中国の学問、実業、行政などの各部門の責任者は、その多くが30才台後半から40才台の知識とエネルギーが溢れる世代が中心となっているそうです。
同済大学 1907年ドイツ人によって創設された「同済徳文医学院」という医学院がその前身。「同済」とは心を合わせて助け合うという意味ですが、日本ではなぜかあまり知られていません。しかし中国では清華大学と並び称される国立の名門総合大学です。キャンパスの中心は上海市の北部郊外の四平路沿いにありますが、総面積は実に141.8ヘクタールもあります。広大な敷地内には緑が多く、その中には一般道路が走り、住居や商店もあり、巨大な学園都市のような感じです。理学、医学、工学、文学、法学、、経済学の全分野に渡り、理学院、建築と都市計画院、電子とメディア工程学院など十数学院をはじめ、3つの付属病院、50学科、大学院80研究科を擁しています。それぞれの分野は国家建設の重要な役割を持ち、研究センターとなっています。 建築学部と医学部が特に有名ですが、殊に建築学部は中国では清華大学の建築学部と双璧をなす存在です。学院総数37,000人、教授630人、助教授1,300人のほか、外国人を含む多数のスタッフが集まり活気に満ちています。
インタビュー経緯 現在の中国において、建築設計の中心的存在のお一人、丁博士に単独インタビューが可能になったのは(株)クローバーシステム、社長で旭川日中友好協会のメンバーである栗田和成氏、札幌在住の高翔氏のネットワークによるものです。また、現地上海では通訳兼案内を勤めていただいた同大の厳万翔院長助理に万全の協力体制をとっていただきました。皆様に心より感謝とお礼を申し上げます。
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