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第10回「感性とは感動する力です。」

石原:「思い出の場所」といえば?

織田:やはり、田舎、生まれ育った高知県の越知ですね。
それと母親の実家です。家の前がきれいな小川なんです。
帰郷した翌朝、そこに泊まっていたことを忘れてて、
パッと目が覚めて、雨が降ってるなあと思ったら、
川のせせらぎなんです。
僕の原風景はすべて山と川。はっきり憶えています。
どこの岩の下にはどの魚がいて、というところまで。

石原:「感動」といえば?

織田:感動はですね、ここの家に移ってきた・・・そのことですね。
ここ住んでから僕は毎朝感動してます。
梢が揺れてて騒いでたり、葉っぱが揺れて風のカタチが見えたり、
雲の動きを見て夏の空になったなとか、ここに来てからは
すごく自分の感性が鋭敏になっているのがわかるんです。
感性というのは感動する力ですよね。
学生には「ともかく感性を磨きなさい」と言っています。
感性を磨く方法は感動体験をより多く重ねる事です。
もっと具体的に言えば「本物」を体験することですよ。
カップラーメンばかりではなく、
たまにはちゃんとしたフランス料理を
フルコース食べるとか。
CDだけでなくコンサートを聴くのも
良いよと言ってます。
北海道の植物って勢いあるでしょ。
夏の時期に一週間見なかったら風景が変わるじゃないですか?
だから感動することっていうのは毎日あるんです。

石原:ではつぎに・・・「悲惨」? 

織田:悲惨ですか。・・・いま56才になるのですが、
20代の時と同じように、お金が全く無いということです。
僕は、大体貯金をしたことがないんです。
先に何でも買ってしまって、
「まあなんとかなるわ」とずっとやってきましたから。
しかし、この年令でお金がないというのはやはり悲惨です。

石原:こんなに素晴らしいものがたくさんお持ちの方がですか…。
「お好きな食べ物」は?


織田:魚が好きですね。
やはり瀬戸内海系の鯵とか鯛とか。

石原:「至福の時」・・・?

織田:この部屋に居て、好きな音楽を聞いて、
ちょっと食べ物が横にあって・・・
仕事が一段落ついてるときがいいですね。
月のはじめの一週間過ぎた辺りからです。
月末の原稿締め切りがいつも遅れて七転八倒したあとです。
いま連載が6本ぐらいありますので。

石原:「ご自分で歌われるお好きな歌」は?

織田:僕は歌は全く歌いません。お風呂の中でも、
どんなところでも歌っていることは本当にありません。
あまりに下手なので自分でも聴きたくないんですよ。(笑)

石原:「お好きな洋服」といえば?

織田:銀座に「虎屋帽子店」というのが昔からありまして、
そこの系列の大阪の店の服が好きで、
学生時代からそこでいつも買っていますね。
服から靴にいたるまで。

石原:さて、今回のオクノジャーナルの主旨は
「旭川と世界」なんですが、
その辺のことについて?

織田:そうですね・・・
僕は今出版の仕事が多いのですが、
出版というのはうまくやれば
自分がどこにいても世界に発信できるものです。
その出版はできるだけバイリンガル(2カ国語)で。
もちろん日本中にだって
コツコツ自分のペースで一生懸命やって発信していけば、
世界中のその道の人はちゃんと見ていてくれます。

石原:先生から若い人達にぜひ言いたいことは?

織田:絶対言いたいのは夢を持つ事。
目的意識を持つ事。
その意識を持ち続けて、これだというもの見つける事。
僕はそれで今日があるんです。
これしかないと思ったら人間は強いんですよ。
どんな人にも、どこにでも恐れず出向けます。

石原:これは恒例のラスト・クエッションですけれども・・・
「人生とは?」

織田:夢を持って生き切ること。
投げ出さない事、でしょうか。

石原:今日は長いお時間、ありがとうございました。

織田:こちらこそ、ありがとうございました。

>>いかがでしたか?この対談は2003年5月に行われたものです。
  さて次回は、優佳良織の織元、木内彩さんの登場です。お楽しみに。



〔ご自宅のサンルーム〕

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