第13回「スタッフの頭をやわらかくするために、いつも刺激を
    なげかけています。『109』も見ろよ、とか…。」


栗野:丈夫だったり、着心地がよかったり…。
あるいは極端な話し、たとえ着心地が悪くってもすばらしいサムシングが、
違う輝きが見い出せればそれはreal clothingだと思いますよ。

石原:しつこく繰り返しますが
服を着るときにどうしてもこれはこうでなければいけないぞ、
ということはないものですか。

栗野:ないですねぇ。
ロッド・スチュアートはロッドスチュアートなりの着かた、
ミック・ジャガーはミック・ジャガーなりの着かた、
リンゴ・スターはリンゴ・スターなりの着かた。
だからカッコウいいんですよね。

石原:ところで別の質問をさせていただきます。
「109」に行かれることはありますか?

栗野:ごくたまにですがありますよ。

石原:ご感想は?

栗野:いや〜すごいなと思いますね。
おそらく世界の洋服業界人で、東京にリサーチしにくる人で
ちゃんと何を見たら良いかわかっている人は必ず行くでしょうね。

石原:そうですか。

栗野:要はトレンド商品のコピー品が
すごく安い値段であると同時に、
あの中でしかできてこないものがすでにあると思います。

石原:なるほど。

栗野:それと、日本の女の人というのはシャイだし
「セクシーな」とか「目立つ」ということに腰が引けてましたよね。
でも「109」以降、目立つことを良し、
セクシーであることを良し、人を振り返らせることを良し…。
ファッションカルチャーにおいて
大きな革命が起きたのが「109」だと思います。
なお且つ、そこでビジネスが生まれてます。
そのことに対して、みんな「別もの」と思いすぎですよ。
UA周辺も含めて、ウィメンズ・マーケットが面白くないのは、
109及びポスト109現象、
109卒業生をちゃんと見てないからではないでしょうか。
その人たちがどこに行って何を買っているのか、
今どういうことをしたいと思っているのか、
どういうことに対してリアクションするのか?を
ちゃんと見ないとダメですよ。

石原:さすがすごいですねぇ。(笑)

栗野:いえいえ。(笑)

石原:私もこの109をどう位置づければいいかと思ってきたのですが、
今のことをお聞きしてやや自信をもちましたよ。

栗野:だってあれだけ売れていて、
人気のあるものが何か間違っているということはないじゃないですか。

石原:はぁ…。

栗野:だから僕らみたいな業界人が1番陥りやすい落とし穴は、
「あんなの子供のなんとかでしょう…」とか
「あんな安物」とかいうことです。
それは自分だけが正しいと思っている人間が言うことであって、
自分だけが正しいと思っている人間ほど、
間違った人はいないということですよ。
例えばUAの世界観はとても良いものだと
自他共に認めちゃってるところがありますから、
自家中毒に陥りやすいんですよ。
僕はそういうことがあっちゃいけないということで、
スタッフの頭をやわらかくするために、いつも刺激をなげかけています。「109」も見ろよ、とか…。

石原:そうですか、常に頭は柔軟ですね。
さて更に話を変えさせていただきますが、
日本人の男性でおしゃれだなぁ、かっこいいなぁと思われる方は?
例えば僕は白州次郎。例の白州正子のご主人ですか、
この人はとてもかっこいい人だと、
ある本の写真を見てつくづく感じました。

栗野:あの頃のね。ああいう時代の人はみんなかっこいいですよね。

石原:なぜでしょうね。





>>「自分を持っている人はカッコイイ」次回は色気・セクシーが
   キーワード。お楽しみに。





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