第3回「もう少し創造的なことに触れてみたくなったんです。」
石原:でも、そういう仕事をなさっててなぜ
デザイン系に進もうと思われたんですか?
張:母の影響が大きいですね。
母はいろんなモノ作れる人で器用なんです。
もともと私もそういうのには興味があって、基本になる色使いとか、
バランス・・・そういうのを勉強したくてグラフィックを選びました。
石原:貿易のような非常に実務的な世界から
デザイン、アート的な世界への転換ということになりますが、
他に強い動機っていうのはありましたか?
張:貿易という深い人間同士のものではなくて、
もう少し創造的なことに触れてみたくなったというのもあります。
石原:働かれていて日本人との接点にに
それを誘発するような動機や何かありましたか?
張:そうですね。その時付き合いのある人達というのは
みんな貿易に携わる人たちばかりだったんですが、
ある人に日本の「和」について教わったことがあるんです。
それがすごく心に残って、
日本っていいなと思いました。
石原:その「和」というものは中国にはないものですか?
張:中国のは日本の「和」とは違いますね。
「和」の基本となったのは中国にあるでは?と思いますが。
石原:私は「和」とはバランスだと思うんですよ。
そのなかには空間的なものや時間的なものなどがあって、
そういうのを日本人は楽しんできました。
一番楽しんだのは中世の頃で「能」ができた時とか、
千利休が「茶」を始めた時とか。
450年〜500年くらい前になるのか・・・
その辺りである程度完成されてきた。
これは「日本独特の調和」の極みみたいな感覚ですね。
話はもどってしまいますが、
張さんは現在、生活デザイン先攻ですよね。
具体的にはどのような事ををやってらっしゃるのですか?
張:いろんな枠がありますが、
私は今や生活の一部になりつつあるウェブデザインを勉強しています。
ウェブデザインは今新しい事がいっぱいです。
中国のウェブと日本のウェブの違いなどですね・・・。
石原:なるほど。なぜ北海道東海大学を選ばれたのですか?
張:まず、中国の北京で日本の大学の説明会がありました。
そこで東海大学からいらっしゃっていた先生と話してみて
すごく気が合ったんです。それで東海大学にしたんですが、
私のやりたいデザインについては北海道の東海大学だったんです。
石原:それで北海道になったんですか。
何かと人生って偶然性が重なるものですからね。
ところで、中国のデザインの現状といいますか・・・
どの様に見ていますか?
張:主観的かもしれませんが、
中国はデザインというもののイメージや観心は今のところ薄いですよね。
伝統的な模様云々とかを除いての話ですが。
「高いけど綺麗」より「安い丈夫な方がいい」という人の数が
絶対的に多いと思います。
それは経済的な問題でもあるんですが。
日本のについては、
デザインとアートの境目がわからなくなってきましたよね。
これはアート、これはデザインという線が見え辛くて、
それは多分デザイナーが自分で消化しきってから大衆にオープンする。
そういうのにアートに近いものが多い気がしますね。
>>次回は、日本と中国の違いや歴史的な問題ついて。
お楽しみに。(次回6月4日予定)
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