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第12回「人は見かけによらない」というのはウソであって 「人は見かけによる」のですよ。 栗野:僕は自分のキャラ的にも職業的にも、 全然変わらない部分とすごく変わる部分が両方あるんです。 だから、どこまで変われるかということを 自分で楽しんでいるところがあります。 そういう意味では、たえざる自己革新をビジュアライズしたものが 自分にとって服を着る行為だといえます。 石原:なるほど…。 で「変わらざるもの」というのは どういうところだと言えるのですか? 栗野:それはねぇ、 「紺」が好きとか 僕はロックミュージシャンが好きですから、 どこか自分の映像の中にそれが沈殿していて、 ロックミュージシャンのスタイルが いつもヒントになったりとかはありますね。 石原:なるほど…。 服とはそういうものですかね。 つまり、これはこう着なさいよ、 というものはないものですか? 栗野:(笑)ええ、あれはないですよね。 そういう風に言った方が商売になるから、 みんな言ってるんだけど…。 僕は全然ないと思いますよ。(笑) 石原:それでかつて石津謙介さんが 一世風靡なさいましたが…。 栗野:そう、あれは日本人が1番好む戦略なんですが、 でも僕は意味がないと思うんです。 石原:意味がありませんか…。 栗野:UAもそのように誤解されやすいんです。 「こう着なさいよ」「こう着なきゃおかしいよ」と 言っているように思われがちですが、 僕は違うと思いますけどね。 石原:じゃ、どうやったら、 みんなカッコ良くなるんですかねぇ。(笑) 栗野:それは自分らしさを発見することじゃないですか。 石原:なるほど。 …でもむずかしいですね。 栗野:自分らしさを発見した人が 1番カッコいいと思います。 石原:そうか。 自分の身体をもって、 自分を表現することでもあるわけですからね…。 栗野:そうですね。 石原:だから、服は服だけではない…。 栗野:ええ、そうです。 ですからある意味で身体の発見だろうし、 身体を通してのセルフアイデンティティの発見でもあるのでしょう。 ですから「人は見かけによらない」というのはウソであって 「人は見かけによる」のですよ。 石原:なるほど。 栗野:それぞれの生き方、 Tシャツの着かた、 いや「着かた」というのは誤解されやすいんで 「Tシャツの似合い方」「スーツの似合い方」は千差万別だし、 その似合い方、それがその人の ヒューマニティだと思うんですよ。 石原:なるほど。 繰り返しますが、UAというと 「シャツはこれでなければならないよ」とか…。 栗野:全然ないですよ。 僕らが社内で大きなテーマを掲げている中に 「Make your real style」と言っているのは、 要するにそれです。 「自分らしさって何?」という。 僕らは「あなたらしさ」というのを お客様が作っていくお手伝いをしているだけです。 だから100円の鉛筆から 100万円の宝石まで扱っているわけですよ。 「real clothting」としての、 本物の完成度が高いもの、 それと「real mind」つまり 「あなたらしいね」「等身大だね」というのと 両方にかけていえるのです。 それはUAは最初からずっと言いつづけてきました。 僕らは「real」を本物、完成度の高いものという意味と同時に、 あなたはそのものとうまくつき合って下さいね、 ということを言っています。 石原:UAとしては完成度の高いものを発見し、 作り出しつづけていく、 ということですね。 栗野:そう、それは絶体的な姿勢です。 ただそこにはルールはないということです。 どこのブランドでなければいけないということも ないということです。 石原:なるほど。 >>次回はあの「109」が巻き起こした革命について語って行きます。 お楽しみに。
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