第6回「一言で中国を表現するのは難しい。」
石原:話を進めさせていただきます。
「現代中国」はいつから始まったとお考えですか?
丁:「現代中国」は1911年の中華民国の誕生とともに始まったと
私は考えています。ここから社会制度が大きく変わりました。
それは日本で言うと「明治維新」と同じ意味です。
石原:孫文ですか。
なるほどそれによって中国のなにが変わったのでしょうか。
丁:孫中山先生は2000年近い中国の封建制度を撤廃したのです。
これによって中国は新しい時代を迎えました。
石原:最後になりますが、中国あるいは中国人とはなんでしょうか?
かなり一般論ですが・・。
丁:一言で中国を表現するのは難しいですね。
石原:私が中国を一言で言えば、「巨大だ」ということですが・・・。
丁:おっしゃる通り空間的、資源的には
中国は世界の中で大きな国といえます。
経済発展のレベルで見ると中国はいまだ第3世界です。
教育については全体としての中国はまだまだ低水準です。
近い将来、20年ほどで中国は大いに前進すると期待しておりますが。
まあ20年後でも中国の経済水準は世界の中で中間くらいだろうと思います。
石原:20年後は世界の上位にいますでしょう。
丁:世界を経済的に第1列、2列、3列と分類するとすれば、
20年後の中国はまだ第2列の段階だと思います。
石原:そうですかねぇ・・・?・・・
丁:日本はそのときも第1列ですが。
石原:そうですかねぇ。
ぼくは20年以内に上海はアジアのニューヨークになると思っています。
丁:アジアのニューヨークと言われるようになるには、
3つの条件が整わなければなりません。
まず国際的な大都市といわれる存在になること。
世界中からもっともすぐれた人材がたくさん集まること。
第3に住むための品のよい環境ができることです。
この3つがそろえば、
「アジアのニューヨーク」になることは可能でしょうが・・・。
石原:上海だけに限れば、この20年で相当なところまで
いくのではないでしょうか?
丁:確かに中国全体の中で、政策的にこの上海に
集中的な経済財政的なテコ入れをしていることは事実です。
ですから、20年以内に世界のメトロポリタン(国際都市)の仲間入りすると、高い確率で言えるかもしれません。
石原:20年後の国際都市・・・・?
丁:ニューヨーク、パリ、トーキョー・・・・
石原:トーキョー?
丁:大丈夫です。東京は。そして香港。さらに・・メイビー上海!(笑)
石原:そうですか・・・?
丁:東京、メイビー!(笑)
石原:サンキュー!(笑)
長時間ありがとうございました。
最後の、最後の、最後に・・・。
まだ院長は45才と大変お若いのですが、・・・・人生とは?
丁:人生とは・・・「追求」することです。
殊に男としては、美しいものを追い求め続けること。
努力を重ねて社会に認められるようになること。
多くの人に良い影響を与え続けること。
もちろん人生には喜びに満ちたときも、
悲しみに打ちひしがれるときもありますが。
もう一言いえば、人生とは楽しみ、楽しませることだと思います。
石原:今日はお忙しい中を1時間半も時間をとっていただき、
人生の楽しいすばらしい一瞬を与えていただきましたことを
心よりお礼申し上げます。謝々。
丁:ありがとございました。
>>いかがでしたか? この対談は2002年11月に上海で行われたものです。
さて次回は、中国特集第2弾。日本の大学を「飛び級」した
中国人留学生との対談です。お楽しみに。(次回5月15日予定) |
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建築設計研究院と丁院長 同済大学建築設計研究所は建築、土木、都市設計等の各セクションに80〜100人の研究員を有し、数百人規模の巨大な組織です。国家の巨大プロジェクトの設計に中心的役割を果たしています。その研究院の院長、丁潔民氏は1994年、若干37才で院長になり、工学博士、教授、博士生導師の肩書きを持っておられます。なお、現在の中国の学問、実業、行政などの各部門の責任者は、その多くが30才台後半から40才台の知識とエネルギーが溢れる世代が中心となっているそうです。
同済大学 1907年ドイツ人によって創設された「同済徳文医学院」という医学院がその前身。「同済」とは心を合わせて助け合うという意味ですが、日本ではなぜかあまり知られていません。しかし中国では清華大学と並び称される国立の名門総合大学です。キャンパスの中心は上海市の北部郊外の四平路沿いにありますが、総面積は実に141.8ヘクタールもあります。広大な敷地内には緑が多く、その中には一般道路が走り、住居や商店もあり、巨大な学園都市のような感じです。理学、医学、工学、文学、法学、、経済学の全分野に渡り、理学院、建築と都市計画院、電子とメディア工程学院など十数学院をはじめ、3つの付属病院、50学科、大学院80研究科を擁しています。それぞれの分野は国家建設の重要な役割を持ち、研究センターとなっています。 建築学部と医学部が特に有名ですが、殊に建築学部は中国では清華大学の建築学部と双璧をなす存在です。学院総数37,000人、教授630人、助教授1,300人のほか、外国人を含む多数のスタッフが集まり活気に満ちています。
インタビュー経緯 現在の中国において、建築設計の中心的存在のお一人、丁博士に単独インタビューが可能になったのは(株)クローバーシステム、社長で旭川日中友好協会のメンバーである栗田和成氏、札幌在住の高翔氏のネットワークによるものです。また、現地上海では通訳兼案内を勤めていただいた同大の厳万翔院長助理に万全の協力体制をとっていただきました。皆様に心より感謝とお礼を申し上げます。
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