第5回 衆議院議員/鈴木宗男
   インタビュアー/石原嘉孝/オクノ社長


大誉地の小学校時代の欠食児童とアフリカの子供たちがオーバーラップするのですよ。

石原: 「世界観」ということを考える時、
小泉政権がやったのは「味方と反対勢力」というように単純化してしまって勢力争いをさせることでした。
その結果、日本の政治風土もそれ以降すっかり変わってしまったと思いますがいかがですか。

鈴木: 小泉さんがやったのはともかくドメスティックで、国内問題ばかりですよ。
「郵政民営化」と「道路公団民営化」だけです。
もともと小泉さんは地球的、世界的規模での政策はなにももっていなかったのですよ。

石原: 全くね〜。その狭い国内問題主義と平板な二者択一的政治スタイルが、その後の日本をすっかりゆがめてしまったように思います。

鈴木: 元来、日本人は節度や礼儀を重んじて、こころ豊かな民族なんですよ。
それが心を小さくさせてですね、みんな「オレがオレが」になってしまいました。
お金お金と、すっかり「情」を失っちゃいましたよ。

石原: こうやって直接お会いしてお聞きしていると、よくわかりました。
先生がロシアに行ってもアフリカに行っても通用するのはまさにそこですね。

鈴木: まあ、困ったときはお互い様でねえ。
私は小学校のときから見てきましたが、クラスに1人や2人、貧乏で食べれなくてね。
栄養失調でそのうち背中が丸くなって、「くる病」になってしまう子がいましたですよ。
それで私が国会議員になって力をつければ、こいつもあいつも助けることができるのにとその頃から思っていたのです。

石原: そうですか。そうですか。

鈴木: それとテレビを見ていると、ほら、お腹をすかして骨と皮ばかりになって、ハエにたかられてもそれを払う力さえないあのアフリカの子供たちが映りますよね。
私には大誉地の小学校時代の欠食児童とアフリカの子供達がオーバーラップするのですよ。

石原: はあ。

鈴木: それならば、それを何とか助けるための行動をすべきだと思って、アフリカとのかかわりを積極的にやってきたんですよ。
私のやる協力事業があの人達を少しでも救うことになるのだと思ってね。

石原: いや〜、すごいですね〜。
わたしはテレビを見ているだけですが、アフリカの現地に行って、
それを直視し、近づき、話しかける勇気が自分自身にあるだろうかと思うと、先生は本当にすごいですね。

鈴木: 私は協力隊の人達なんかと一緒に、アフリカの各地に行っています。

石原: テレビではそこまで分かりませんが、
現場ではきっとすごいものでしょうね。
臭いはするし、不潔で、悲惨さはあまりにも生々しいでしょう。

鈴木: それはすごいですよ。大変なものです。表現しがたいというか。
・・・・ですから誰も行きたがらないんですよ。
現地の大使館だって私に「危険だから行くな」といいますしね。
だけどあの人達も同じ人間なんですよ。

石原: やあ〜本当にすごい。
もう一人、世界銀行の副総裁を10年ほどやった西水美恵子さんという日本人も、どんなところへも自分で行ったと本で読んで感動しましたが。
残念ながら彼女はもう退職してしまいましたが。

鈴木: もうやめてしまいましたか。






これは弱者切り捨ての「市場原理主義」ですよね。
アメリカに追随するだけのね。


石原: くりかえしますが、「日本の政治の節目」ということで言えば、
やはり小泉元総理は節目の人でしょうか。
彼は奇妙な形でポンと総理になるわけですが。
先生はその頃は自民党の議員でおられましたが。

鈴木: マスメディアを使って世論誘導をしながら、その政治権力を担うやり方。やっぱりこれは良いことじゃないですよね。
本当の力を持っているわけではないですから。

石原: ええ。

鈴木: 何だかんだといって、昔の自民党には「派閥」があって、
その派閥の領袖(ボス)はしっかりしていましたよ。
手腕もあり、それになんといってもその人達には「こころ」がありました。
そのほか資金的にもちゃんと若い人の面倒もみましたしね。

石原: ええ。

鈴木: その点ではね〜。選挙制度も変わりましたが、今の「派の会長」といわれる人は、まあ器も小さくなったと思いますよ。
でもそれ以上に共通して言えることは、今の政治家の多くはともかくその場しのぎばかりです。
10年後20年後の日本をどうするかとかではなく、その場のことばかりですよ。

石原: いろいろ批判もありましたが、その意味ではかつての自民党の「派閥」が党内で競い合った時代、政治家にはその「魂」のようなものがありましたか。

鈴木: ありました。それが今では、みんな去勢された牛みたいなものですものね。

石原: わたしは数年前に北京で人民大会堂の内部、
あの数千人が一堂に会する議場の一角に立ったことがあります。
そのとき思ったことは、この中国で権力を取り維持していくことは、
ものすごい力のあるものでなければ到底無理で、
まぐれやちょっとしたことでは絶対になれないなということです。

鈴木: そうです。あの巨大な国で権力を取るのは大変でしょう。
中途半端ではとても無理です。

石原: 一方で日本はポンと弾みで首相になる人が続きましたよね。
その覚悟もなければ準備もない人が首相になる現象がつづいていますね。

鈴木: 日本では今、自殺者が3万人以上というのが11年も続いています。

石原: はあ。

鈴木: 国民がやる気を失っています。特に40歳代50歳代の人が多い。
リストラされた、あるいは会社をつぶした、といった人たちがですねえ〜。
非常に悲しいことです。・・家族を残して死んでいく。
・・・・・・本当にみんな働き盛りの人達が多いですね。
・・・私は、これは政治の大きな責任だと思っています。

石原: はあ。

鈴木: 2002年に小泉政権は発足しましたが、
これは弱者切り捨ての「市場原理主義」ですよね。
アメリカに追随するだけのね。

石原: ・・・・・。

鈴木: そもそもアメリカはたかだか250年ほどの歴史ですよ。
そしてアメリカ人のほとんどみんなが外からの移住者ですよ、そのルーツは。
だからこの新しく興ったアメリカという国では、
名門や伝統ということもなく、ひたすら「強いものが善である」という考え方ができたのですよ。

石原: ええ。

鈴木: でも、日本には独自の伝統も歴史もあれば、日本人としての情感もあります。
なのに小泉さんはそんなことを無視して、
「強いものが善である」というアメリカ型思考を日本に強引に持ち込んだのですよ。

石原: 人に対する「情」なんかも、古いものだとした。
ことに「反対勢力」と烙印したものには容赦なく追い討ちをかけ鞭打った。
これでその後の日本人の価値観も何もめちゃくちゃになりましたね。

鈴木: だから、小泉政治の時代以降に多くなったのは、
無差別殺人だとか、親が子を殺す、子が親を殺すといった凶悪事件の発生です。
それ以前にはなかったような事件が頻発するようになりましたよね。

石原: 確かに「情」や「魂」といった、人間として大事な部分を切り捨ててしまった小泉さんのやり方は、影響大ですね。

鈴木: なぜそういう事件などが起こるかといえば、
みんな自暴自棄になっているからですよ。
無差別殺人事件の犯人は「殺すのは誰でもよかった」といっているのです。
このような考え方の事件が多発している。これは危険ですねえ〜。

石原: ほんとにね。狂いはじめた日本ですね。



>>やれます。ものすごいバトルにも屈しない政治家が 10人いればいいのですよ。



 
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