第6回 衆議院議員/鈴木宗男
   インタビュアー/石原嘉孝/オクノ社長


やれます。
ものすごいバトルにも屈しない政治家が 10人いればいいのですよ。


石原: ところで、今大きなテーマとなってきた「官僚の支配」というところはいかがですか。
先生もその犠牲者というか、ワナにかけられた方なのでしょうが・・・・。

鈴木: まあ・・それより、「世襲政治」というものが今の日本の政治をだめにしているし、日本の社会をだめにしているのですよ。

石原: はあ。

鈴木: 世襲政治家の人たちはそもそも生活に困ったこともなければ、
金に困ったこともない。
しかも立場はいつも権力側ですよ。

石原: ええ。

鈴木: そしてもうひとつ、今の政治の問題は「官僚」です。
ずっと自民党が政権を取ってきましたが、
その間にどんなに政権が変わっても、実際のところ物事はいつも官僚が決めてきました。
政権の人たちはそれをボアっと黙って見てきただけですよ。
ここに今日本の大きな危機があると思います。

石原: なるほど。

鈴木: だからやっぱり今、「官僚政治打破」はどうしても遂行しなければなりません。
そのためにもその原点としての「世襲政治の打破」をどうしてもやらなければなりません。

石原: 官僚支配の実態を私もいろんな本でわかっているつもりです。
国家や国民のためにどうすればよいか等という考えは、
とっくの昔に各省庁の「高級官僚」といわれる人たちは捨て去っていますよね。
自分の省庁のことしか考えず、自分たちの失敗は認めず、
マズいことは隠し、先輩官僚のやったことは「絶対に正しく」、
「自分たちの将来」には熱心で、蓄財や「自分たちの余生安泰制度としての天下り先」を作っては税金を流し込み、
すべては自分と自分たちの省益を最優先する官僚たちの姿にはゾッとします。
しかし、この明治政府以降のこの中央官庁の官僚たちの牙城をどうやったら崩せるのでしょうか。

鈴木: 簡単です。世間では「鈴木宗男は官僚を恫喝した。脅した。」といわれていますよね。
ですから、その「鈴木宗男」のような官僚の言いなりにならない、
はっきりとモノを言える政治家が10人いればいいのですよ。

石原: なるほど・・・。10人いればやれますか。

鈴木: やれます。
ものすごいバトルにも屈しない信念の政治家が10人いれば。

石原: ・・・・。

鈴木: 私がかつて官僚たちを叱ったのは当たり前なんですよ。
彼らは誠に行儀が悪く、自分に不利なことは隠し、
当たり前のことを当たり前にきちっとやらないからですよ。
だから私は国民の声を代弁して官僚たちをしかったんじゃないですか。
それを恨んだ官僚たちが、あることないことを自分たちに都合よくでっち上げてマスメディアに漏洩した。
それをまた面白おかしくマスメディアが繰り返し報道したんですよ。

石原: なるほど・・。

鈴木: 世襲政治家たちはねえ。いい子ぶるだけで勉強もせず信念もなくですから、官僚とは決してぶつからないですよ。
逆に官僚の言いなりですよ。

石原: 問題は、官僚と一緒になって自分も利権を漁るような国会議員が多い中、そのおっしゃる10人は本当にいますか。

鈴木: 作りますよ。

石原: いや、作れますか。

鈴木: 作れますよ。

石原: 与野党を問わず、本当に信念とパワーのある人たちをね。
それだけの10人がいますか。

鈴木: います。います。
たとえば渡辺喜美さんだって立派なもんでしょう。

石原: 立派です。

鈴木: もちろん小沢一郎さんだって、キチッとやりますよ。

石原: はあ。

鈴木: いま官僚のトップは各省の「事務次官」なのです。
この人たちが各省庁を仕切ります。
この事務次官たちの指示で動く官僚たちは、政治家にだけでなく、国家にも政府にすら「面従腹背」しているのです。
彼らは顔は前を向けていますが、心は100%自分の省庁の都合ばかりを考えています。
まともに国民や国家のためにと考える「高級官僚」は今は皆無です。
ここにきちっとメスを入れることです。
そうすれば役所はピチッとなりますよ。まちがいなく。

石原: なるほど・・。
でも明治政府が出来て以来、本当の改革もなく積み重なってきた中央官庁と官僚群です。
その霞ヶ関の官僚文化と構造が相手ですからねえ〜。

鈴木: ただ、かつて田中角栄元首相がうまく例えたように、関係は「じゃんけん」の形なんですよ。
国民は官僚に弱い。
なぜなら「行政指導」があるからです。
役人は政治家に弱い。 人事権があるからです。
そして政治家は国民に弱い。選挙の票をもっているからです。
「これをいかに使うか、それが重要だ」と角サンがいっておりました。
まさしくこれが大きなポイントですよ。

石原: なるほどね。そこに問題を解く鍵がありますか。
決定的な力は、官僚をしっかりコントロールできるような政治家を国民が選び育てるかということですかね。

鈴木: まことに。

石原: その意味では09年の今年。
もう間近かにせまった、9月までに間違いなくある衆議院選挙は実に大きな意味を持ちますね。

鈴木: もちろんです。そして、「政権交代」です。これしかないです。

石原: いよいよですね。

鈴木: いよいよですよ。





”へ”でも何でもない人ですよ。
外務省が何かまるで わかってない人をねえ。


石原: ところで、先生は特にロシアとの外交に深く関わってこられましたが、日本のリアルな外交の現場とはどういうものなんでしょうか。

鈴木: 外交というものは、もちろん政府の責任です。
外務大臣を任命するのは総理大臣ですが、
近年いかほどしっかりした外務大臣を任命してきたかというと、
どうも、どの総理もしてきていないですよ。一貫して。

石原: 一貫して・・・。

鈴木: たとえばねえ。
今の外務大臣は中曽根康弘さんの息子の中曽根弘文さんですが、
こんな人が外務大臣をやっていていいんですか。
・・・・はっきり言って。

石原: ・・・・。

鈴木: 私が知っている限りで、外務大臣で歴史に名をとどめるとしたら安部晋太郎先生です。
4年間やりましたが、この人の仕事ぶりは出色でした。
アメリカの当時の国務長官シュルツとはほんとに強い信頼関係だったといわれています。
そのほかに園田直さんという方は2年間やりましたけれど。
彼はねえ〜、英語を一言も使わなかったのですよ。
「グッドモーニング」「サンキュー」もね。
それくらい日本人の気骨を持って外交をやりましたよ。

石原: あの園田さんがそうですか・・・。

鈴木: そうです。外務大臣というのは国益をかけて国家を代表する人ですから、何よりもまず気骨を持っていなければなりません。
園田さんはきちっと日本の筋を通しました。
それと、外務大臣としては実はあの宇野宗佑さんはたいしたものでしたよ。

石原:女性スキャンダルで、たった二ヶ月で総理を辞めたあのだらしない人と思われている宇野さんがですか。

鈴木: ええ。ちゃんと勉強をして外交はしっかりやっていましたよ。

石原: へえ〜そうですか。見た目やメディア情報だけではわかりませんね。

鈴木: あとは見渡しても外務大臣としてキチッと仕事をして、
名前を残したという人は最近はずっといないですよ。
これはという人はね。

石原: はあ。

鈴木: あの中曽根康弘さんですら総理をやったときには、
倉成正さんのような人を外務大臣にしましたからねえ〜。
まあ、はっきり言うと倉成さんは”へ”でも何でもない人ですよ。
外務が何かまるでわかっていない人をねえ。

石原: 中曽根さんご自身は外務大臣をやらなかったですか・・。

鈴木: やってませんね。
中曽根さんは運輸大臣、防衛庁長官・・通産大臣ですよ。

石原: その中曽根さんに対してはどのように評価されますか。

鈴木: 中曽根さんという方はですね。
ご自身が戦争体験をなさって、敗戦で壊滅的になった日本を復興するにはどうしたらよいかという中で、高い志を持ってがんばった、
たいした政治家だと思います。背筋の通った。



>>あとは小渕恵三先生ですよ。
あの方が今でも生きて おられたら、日本の政治の歴史は変わっていたかも しれません。




 
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