第8回 衆議院議員/鈴木宗男
   インタビュアー/石原嘉孝/オクノ社長


今そういう国家観をもって行動している政治家はほんとに少ないですよ。

石原: 先生の政治目的、信条、原理原則はまとめて言うと・・・。

鈴木: 「信念を持って行動し、生きていくこと」、
また、「正直に生きること」です。
そうすれば、必ずわかってくれる人がいると思ってやっております。

石原: 先生から見て、政治家一般は「正直」ですか。

鈴木: みんな・・・・言ってみれば「正直」なんですけれど・・・。
でもその「正直」の視点が「甘えの構造」なんですよ。・・・。
選挙に当選したいためにリップサービスをする。
あるいは耳障りのいい話しをする。
・・・それはそれで「正直」なんですよ。
「当選したい」という意味においてはね。

石原: なるほど。

鈴木: じゃあ、それが政治家本来のあるべき姿であるかというと、そうじゃないですよね。
その場のリップサービスをしているから「政治不信」に直結するのですよ。
政治家は口先だけで、裏では何をやっているかわからない、という風に思われてね。

石原: 先生からご覧になって、国会議員の中には「これはこうだ」と物事を貫こうとする人たちは結構たくさんいるものですか。

鈴木: ほとんどいませんね。みんな自己中心ですよ。
自分が良ければ良いと言う・・・。
まったく「当選至上主義」ですよ。

石原: じゃあ、国家のことを考えている人がどこにいるのか、
ということですが・・・。

鈴木: そう、今そういう国家観をもって行動している政治家はほんとに少ないですよ。
我が国の世界戦略を考えるようなスケールのある人がいないですよ。

石原: しかし、それは「政権交代」をすれば、そのような人がでてきますか。

鈴木: ええ、「政権交代」をすればできるんですよ。
また、そのことによってしかできないんですよ。

石原: そうですか。そのお言葉を信じて、いよいよ「政権交代」を実現するしかありませんね。

鈴木: そうです。




秋野さんは、国連での日本人の評価を高めてくれましたよ。

石原: 少々個人的にで結構なのですが先生の人生で、
これはすばらしい人だった、すばらしい出会いだった、と思うことをいくつかあげていただきませんか。

鈴木: やっぱり第1には松山千春さんですね。
かれはニューミュージックの世界で35年間も第1線でやってますよね。
それはたいしたものですよ。

石原: ハア。

鈴木: その彼がねえ。私が逮捕されようが、どんなことが起ころうが、
「絶対に鈴木宗男だ」と言ってくれているんですよ。
この松山千春の「男気」・・・、「人としての心」といいますかねえ。
これには敬服しますよ。

石原: 芸能人の中でも彼は異色ですものね。

鈴木: 芸能人は政治と宗教には関係するなといわれているんですよね。
しかし彼は全くビクともしないですよ。
それだけ彼は自信を持っているからです。
俺は誰にも負けないぞ、とね。
俺はこれで勝負する、とね。

石原: ハア。

鈴木: 私は松山千春を本当にね、「男の中の男だ」と思っています。

石原: 高校時代からのお知り合いですか。

鈴木: 田舎が一緒ですから。
大体、松山さんのお父さんに私はかわいがってもらったんですよ。
彼とは7つちがいですが。

石原: そのほかの「すごい人」は・・。

鈴木: あの外務省にいた佐藤優さんもすごいですね。
私と佐藤さんでロシアと交渉していれば、
北方領土問題は解決してますよ。

石原: そもそも佐藤さんはあのクレムリンの大統領執務室の隣の部屋まではフリーで入っていけるほどの人だったそうですね。
ちょっと日本人では考えられないほどのスケールの人ですものね。

鈴木: 彼も「日本の国益第一主義者」ですが、
ロシア大使館勤務当時、二等書記官という身分ながら、
世界的視野でなんとか日露関係を動かそうと、たった一人でやっておりましたからね。
私も政治家として佐藤優と出会えたということは本当に良かったですよ。

石原: しかし、あれだけ優秀な人を外務省は放り出し、
あげくの果てに拘置所に送り込んだのですからねえ〜。

鈴木: 外務省役人の「ねたみ」ですよ。

石原: ねたみ、でしょうね。

鈴木: 「アイツはできる」とね。
しかも佐藤優は外務省では下っ端の「ノンキャリア」でしょう。
やっかみ、ねたみ、ですよ。

石原: 外務省の官僚といえば、最近何かと名前を聞きますが、
谷内正太郎さんという人はどうですか。

鈴木: 谷内さんは「バランスのいい外交官」ですよ。
でも、最近なんであんなことを言いましたかねえ。
北方領土返還で「3・5島論」などというね。
本人は言ってないと否定していますが、
言ってないんなら、ちゃんと国民に説明すればいいんですよ。
(と突然、隣室にいる秘書に声高に指示を飛ばす。「浅野さん」。秘書「ハイ!」。「谷内さんにもう1回質問書を出してくれ。『なぜ国民に説明しないんだ』といって」。秘書「はい」。)



石原: それでも。谷内さんは質のいいほうで・・。

鈴木: ええ、それは質のいいほうですよバランスの良い方でね。

石原: さらに、この同時代人で「すごい人」をあげていただくと・・・。

鈴木: ・・・・・。秋野さん。秋野豊さんです。
あのタジキスタンで死んだ。
この人も北海道の人ですよ。

石原: あの人は本モノですか。

鈴木: 彼は本モノです。
スラブ・ユーラシアを専門にやった政治学者でね。
筑波大学の先生だったのですが、国連の政務官としてタジキスタンに派遣されていました。
当時の小渕外務大臣がお願いして国連に行ってもらったのです。
それで、タジキスタンのゲリラにね〜。

石原: 学者が。そこまで危険なところに踏み込んでいくような方だったのですね。

鈴木: 秋野さんは、国連での日本人の評価を高めてくれましたよ。
命をかけても仕事を全うしようとする日本人としてね。
秋野さんは、「日本人として国際貢献のはじめての犠牲者」ですからね。
みんなそれをしっかり覚えておくべきですよ。
ほんとに立派な方でした。

石原: いよいよ、お約束の時間がなくなってまいりました。

鈴木: あと、「がんばった男」としては、第61代横綱の北勝海ですね。
この人は全く横綱になんかなれる素質ではなかったのですが、
他人の3倍、5倍と稽古をしてね。
とうとう綱を張ったんですよ。

石原: いまでもテレビで見ていて、北勝海親方はなかなかですね。

鈴木: 心が違いますよ。
・・・・同じ横綱でも、千代の富士とは違いますよ。

石原: 千代の富士は・・・。

鈴木: 人間的にはだめですよ。
私はいろいろ千代の富士のメンドウはみたつもりですが、
ちょっと騒ぎになったらすぐ逃げてしまいますよ。
いい話にしか付かない・・・・。

石原: まあ、人間の価値というのは・・・・・そこですね。
キッシンジャーが質問に答えて言いました。
「人生でもっとも大事なものは『友情』である」と。
「だから私は、友人が困っていたらどんなことをしても助ける」と。

鈴木: そう、困ったときの友人が真の友人ですよ。
それが何人いるかです。『困ったときの友が真の友』。
これは特にロシアやユダヤで使われる言葉ですよ。

石原: 外交とは、そこまでの付き合い、
信頼関係があって成功するものでしょうね。
よくわかりました。
(ここで秘書より、次の来訪者が待機していることを告げられる。)

石原: それでは手短に最後の質問です。
・・・・「人生」とは。

鈴木: ・・・・・。
人生とは・・・・・・・・・・・・・・。
ありがたいものですね。・・・・・・・本当にありがたいものです。
・・・・この世に存在したということに感謝しなければいけないものです。

石原: (急いで立ち上がりつつ) なるほど。
・・・お忙しいところ本当にありがとうございました。

鈴木: ハイ。ハイハイ!



2009年6月3日 午後2時より/場所 衆議院第一議員会館224号室にて



 
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