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第7回 衆議院議員/鈴木宗男 インタビュアー/石原嘉孝/オクノ社長 あとは小渕恵三先生ですよ。 あの方が今でも生きて おられたら、 日本の政治の歴史は変わっていたかもしれません。 石原: 先生が直にご覧になられてきた中で、 「背筋の通った政治家」としてはどんな方がおられましたか。 鈴木: 金丸信先生は虚飾やケレンミのない、ストレートな方でね。 それで10年ばかり君臨していましたからね。 あの人の人心の掌握力はそれはすごいものでした。 金丸先生は「人間関係が大事だ。人間関係が太いか細いかで政治家は将来がきまるぞ」といつも言っておられました。 石原: はあ。 鈴木: 「困ってやって来たやつの相談にはのってやれ」とも言われてました。 金丸先生のここ一番というときの面倒見のよさはほんとにすごかったですよ、それは。 石原: 世に言われた「カミソリ後藤田」はいかがでしたか。 鈴木: 私は後藤田さんは、典型的な官僚だと思いますよ。 「カミソリ後藤田」といって何か良いことをやったかといえば何もなかったですよ。 石原: 彼は「官僚」ですか。 鈴木: 官僚ですよ。やっぱり「組織第一」です。政治家じゃないですよ。 「カミソリ後藤田」というのはマスコミがつけただけのものですよ。 たまたま田中角栄さんが首相になった時、目をつけて引っ張り出したのです。 田中先生とすれば、自分の権力維持のために警察権力を使ったというだけですよ。 石原: なるほど。・・・その他にすごい方は? 鈴木: 野中広務先生ですね。 鉄道の切符切りからスタートしてね。 町会議員、町長、市議会議員、副知事、そして国会議員になった人です。 石原: あの方は社会的弱者の心やつらさをよくわかっておられた方ですものね。 鈴木: あとは小渕恵三先生ですよ。 あの方が今でも生きておられたら、日本の政治の歴史は変わっていたかもしれません。 石原: それほどの方ですか。 なにせ一般の私たちの小渕さんに対するイメージとはちがいますね。 元号が決まった時に「平成」と書かれた紙を上下に広げて示した姿が私たちには焼きついていますが。 鈴木: 地元は群馬県でした。 群馬県といえば第67代首相福田赴夫、第71代の中曽根康弘とおなじ選挙区で、この強いお二人と常に対峙してきましたからねえ。 ですから小渕さんは迫力がありましたですよ。 我慢強さ、粘りづよさはすごかったですね。 石原: ハア、はあ・・。 鈴木: よく小渕さんは「ドン牛」といわれましたよね。 その小渕さんは非常に厳しい方でね。見事なぐらいに。 石原: 我々には「柔和な人」という感じがしましたが・・。 鈴木: いや、厳しい、厳しい。 好き嫌い、良し悪しは明解ですしね。 石原: そんな方が首相になってまもなく、 突然お亡くなりになりましたね。 鈴木: そうです。98年の秋に第84代の総理になられて、1年半後に急逝されました。 まだお若かったですしねえ。 日本のために本当にもったいなかったですよ。 石原: そのほかにどんな方が・・・。 鈴木: 竹下登先生なんかもすごい人でしたね。 消費税を日本に新設しましたしね。 石原: 消費税をやれば、次の選挙は間違いなく逆風にさらされることを知りながらですよね。 鈴木: あの中でねえ。トッチャン坊やみたいな顔をしていましたけどね。 この人もしたたかでしたよ。 石原: やっぱり、あのころまでの方々は、何か大きな信念を持っておられたんですねえ。 皆さん若いときは青年団や農民運動やさまざまな組織をつくり、 先頭に立って人々やそれらの組織を動かし、闘ってきたりして、 国会議員になられましたからねえ。 1回失敗しても、1回負けても、 もう1回チャンス が与えられる社会にしなければなりませんね。 石原: 時間がいよいよなくなってきました。 質問をかえて、「今、日本の政治の緊急課題」はなんでしょうか。 鈴木: 緊急課題は「官僚政治の打破」。 「世襲政治の打破」の二つです。これしかありません。 そしてそれをひっくるめて「政権交代」です。 石原: ハア。 鈴木: その政権交代ができたら、その新たな政権は、 「国民目線」で政策を立案し、やるべきことをキチッとやるものですよ。 東京などの大都会だけがよかったり、一握りのものが権力や富を持ったり、特権的に誰かが優先される社会はだめですよ。 この日本は、誰でも努力する人、がんばる人は報われるという良い伝統があったのです。 そのやる気が、これだけの先進国日本にしたのです。 それがいま逆に「格差社会」の方向に向かっている。 それを正すのがやはり「政治」ですよ。 石原: 「日本はこういう方向に行けば幸福である」という確固とした考えを、今こそ国民全体に示さねばなりませんね。 鈴木: みんなにチャンスを与えることですよ。「小泉政治」はね。 機会を与えられても失敗すればそれで終りという社会にしてしまったのですよ。 1回失敗しても、1回負けても、もう1回チャンスが与えられる社会にしなければなりませんね。「カムバックできる社会」ですよ。 もっとも、ちょっとだけ首相をやった安部晋三さんは言葉だけは「チャレンジのできる社会」と言いました。 でも本当に必死の人生をかけた闘いをしたことがない人がねえ。 そんなことを言っても説得力がないですよ。 石原: いま、国家運営の大きな思想を持って、 国家の構造の方向性を指ししめさなければならない時がきましたね。 それらのことを推進するのに、最低10人いればなんとかなると。 鈴木: そうです。できますよ。 石原: 政治とはそういうものですか。 鈴木: そういうものです。 石原: それは楽しみですね。 >>今そういう国家観をもって行動している政治家はほ んとに少ないですよ。
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