OKUNO JOURNAL
そして今、「ものづくり大学」を作ろうと
行動をしているのは、そのためなのです。
石原 ご自身のことについてお尋ねしたいのですが、今まで貫いてこられた「信念」…哲学とは。
長原 4文字で表現すれば「創造無限」です。誰もやっていないものを創り出すこと、世界に向けて道を切り拓いていく「クリエイティブなチャレンジ精神」は無限の可能性を生み出していくということです。 それと「日本人はものづくりを忘れてはいけない」ということです。「ものづくりではなくITの時代だ」とか「マネービジネスだ」とか言われてきました。でも、私はずっと何も変わらないのですよ。「やっぱり日本人はものづくりを忘れてはいけない。ひたすら“ものづくり”に魂を込めている限りは世界中で生きていけるのだ」という考えです。こういう信念を持ち続けてきたのは、やっぱりあのドイツでの経験からですよ。
石原 日本人の技術や繊細さは世界一だと。
長原 技術というよりは技能です。「職人的精緻な技」というもので、日本人の感性を超える国も人種もいないという経験です。「創造力」という面では欧米は優れています。どの時代にもヨーロッパには優れた芸術家達がいました。古代にはミロのビーナスがあって、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ゴッホ、ピカソ等々ですよ。「デザイン」は「芸術」に非常に近いもので、やはり欧米が圧倒的に優れています。家具製作において、「デザインを取り込んだものづくり」のためには、欧米のデザインを取り込むことが不可欠です。それで私は早い時期から欧米のデザイナー達と協業してきました。
石原 はあ〜。
長原 1990年以来、3年ごとに旭川で「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」を開催してきています。旭川の家具産業全体が世界で君臨できるような地域産業となるためには、どうしても海外の「デザイン力」を導入しなければいけないと思って始めたものです。そして最初から『30年戦略』を考えて、10回は開催すると決めてIFDAはスタートしました。地域全体のデザインスピリットを高めるには、人々が一世代入れ替わる時間が必要だとの考えからです。昨年で8回目、20年以上続けてきてようやく地域に根付いてきました。さらにこの地域の「ものづくり力」と「デザイン力」が高いレベルで一つになる時をめざしています。「旭川はローカルだがグローバルだ」との旗をかかげながらです。
石原 はあ…。
長原 そして今、「ものづくり大学」を作ろうと行動しているのも、そのような次の時代を創るためなのです。 『ものづくり大学』とはどのような大学ですか。 4年間のコースの前半の2年間は、身体でものづくりを憶えるという徹底的な「職人教育」の大学です。後半の2年間が主にデザインやマネジメントなどのソフト部分です。ハードに始まりその後ソフトを知っていく、世界で21世紀のものづくりをリードするような教育機関をと考えています。100年前に「バウハウス」がやったことを、現代に再現しようとするものです。教授陣は世界中から集めますし、学生も世界中から集まってくると思いますよ。それをこの旭川でやることに大きな意味があるのです。
石原 世界から教授を集めるというのは具体性がありますか…。
長原 すでに8回も「国際家具デザインフェア」を開催し、そのデザインコンペの審査員に世界の高名なインダストリアル・デザイナーを多数招致してきました。その人達の弟子には優秀な人がたくさんいますから、教授候補は何人もいます。のみならず世界的メディアで「こういう大学を作りたいから教授を求める」という広告を出せば、素晴らしい人材が必ず集まります。これは自信を持って言えます。教授も学生も国内はもとより世界中から必ず集まってきます。


<第12回> 「旭川国際家具デザインコンペ」は今、世界のトップです。 >>



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これまでの特集対談



CONDE HOUSE 会長
長原実

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Hotman 創業者
田中富太郎

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衆議院議員
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旭山動物園 園長
小菅正夫

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旭川市長
西川将人

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北海道東海大学 教授
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北海道東海大学 大学院生
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同済大学 建築設計研究院院長
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吉田カバン 会長
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UNITED ARROWS 社長
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