OKUNO JOURNAL
市長の決断です。
公務員の上に立つトップの決断です。
石原 いよいよ最後の質問です…。「人生」とは?
長原 やはり僕は「死ぬまでクリエイティブな人間でいたい」と思います。現状に満足しないで前に進み続けたいと。経営においても僕は「盤石の経営」というのは好みません。無借金でこれから100年は大丈夫だという会社に魅力は感じませんから、常に赤字部門を自分で抱えるのですよ。最近も東京の五反田に、デザインギャラリー「IPPON」という名の製造直販の店を出して実験中です。カンディハウスの従来モデルではなく、全く新しいものづくりをやっています。多分2、3年で新しいビジネスモデルが出来上がりますが、そうなれば全国に10店舗は展開したいと思っています。
石原 はあー。
長原 2005年にはドイツに現地法人「カンディハウス ヨーロッパ」を作りました。旭川で作った家具をヨーロッパで売ろうという長年の夢の実現のために、億の金をつぎ込みようやく利益が出るくらいに育ってきましたよ。そうやって黒字になってきたらまた赤字を出しながら次の仕事をやり始めていくのですよ。どれでも黒字化には最低2、3年かかりますから。
石原 いま社員数はどれくらいですか。
長原 関連会社を入れると300人くらいです。それだけの給料を毎月出していくだけで大変なことは大変ですが、だけどいろいろ苦しくてもやっていることが楽しいことですよ。
石原 創造し、闘い続けることがですね。
長原 私が提唱している「ものづくり大学」だって、自分の年齢を考えると、今更わざわざ足を踏み入れなくてもいいんですよ。でもこの旭川から「ものづくり」系の大学(北海道東海大学)が失われるというのに、行政が全くそっぽを向いているのは許せないことだと思うんですよ。この地域の20年後の新時代を創るために、だからなんとしてもと頑張っているんですよ。
石原 「ものづくり大学」の設立を企画し、奔走なさっている今、何が一番必要なことだと思っておられますか?
長原 市長の決断です。公務員の上に立つトップの決断です。選挙で選ばれた市長が決断しない限り行政マンは動きません。国も地方も行政の上に立つトップはもっと身体を張って大事なことを決断し実行してもらわなければいけません。企業でもトップだけは常に孤独に耐えねばならないし、自らの見通しで強い決断と実行をしています。トップが全責任を持ってはじめて社員たちに挑戦心が生まれ変革が実現するものですよ。市長が旭川の将来をしっかり見据えて、周囲を説得しつつ、勇気ある決断をすることを自らに課していただくよう強く願っています。
石原 市長は日常的なことは下の者に任せても、市の将来を一身に考えて、決断と行動をしてくれることを私も願っております。本日は長い時間、素晴らしいお話をありがとうございました。
(2012年4月10日 株式会社カンディハウス会長室にて)





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